三浦綾子生誕100年を記念し出版された「三浦綾子祈りのことば」から収録画像を展示します。
花村みほ氏との共著「光の小径」出版記念。
三浦綾子さんの祈りのことばに写真を、との依頼があり、畏れ多くもお引き受けしました。25年くらい前になるでしょうか、北海道を旅した折り、偶然三浦綾子さんにお会いしました。雲の上のような方、著名人に突然お会いしただけでびっくりして、何を話したか全く覚えていません。秘書の方からサイン入りの本を2冊いただいて帰ってきました。私は受洗する前に何冊かの作品を読みました。それがほんの一部であることを知らないまま、夢中になりました。作品の中に自分そっくりな人物を見つけ、ドキリとし、自分を見つめ直すきっかけとなったのです。
この仕事が舞い込んできたとき、嬉しいと同時に不安もありました。写真に文字が載るところを想像できるような画像がなかなか選べなかったのです。どうしてもデザインが先に浮かんでしまい、これではことばが生かせないとか、バランスがよくないとか、本当はそこまで考える必要はないのですが、ついつい…。編集者に相談したら「どんな写真も三浦綾子さんのことばにぴったりくるはずです」と言われ、頭に渦巻くものを消すことができました。数日後、使われていない実家の倉庫状態の2階に用があって久しぶりに上がった時、畳にじかに積まれた本の一番上に三浦綾子さんの「道ありき」を見つけました。びっくりしました。嘘のような本当の話です。読むうちに固くなっていた頭も心も柔らかくなり、大丈夫と思えるようになりました。綾子さんが傍らで見守ってくださっているように感じました。
いくつかの偶然が重なり今がありますが、どれもこれも必要でした。必然だったのかもしれません。出来上がった本を手にとってそんなことを思いました。
綾子さんの祈りのことばが、たくさんの方々に、そして天高くとどきますように。
2022年8月
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